Sep 6, 2007

二つの昭和

ちょっと前になりますが、今年の夏「ヒロシマナガサキ」というマスコミでもかなり話題になったアメリカのドキュメンタリー作品を岩波ホールで見ました。痛烈な内容であり、それに対する見解はいろいろあると思いますが、一つの映像作品として、確かに揺り動かれるものがありました。

同じ時期、久しぶりに読んだのが三島の「奔馬」。いわゆる豊饒の海・四部作の第二部です。不穏な空気に満ちた昭和初期。主人公は憂国の学生。儚く「美しき日本語」で書かれた第一部に比べ、全体が隙のないロジックで語り尽くされ、その主人公も、また、自分の信念に対し、どこまでもまっすぐであり、そしてぶれない。それが帰結として、あの有名な最後の一節に辿りつくわけですが、それは、無駄なく研ぎ澄まされた天才の一節。

テーマ、手段は違えど、「昭和」という時代を扱った表現行為。夏という季節と、こういう「昭和」な作品に高い親和性を感じるのは自分だけでしょうか。